亡くなった方に多額の借金があり、預金などのプラス財産と比べて借金の方が上回っていた場合、「限定放棄」や「相続放棄」といった制度を利用する事が一般的かと思います。
ではこの様なケースではどうでしょうか。
Aさんは大手不動産会社に勤務。仕事もまじめにして特にギャンブルもしていません。
会社の先輩が起業をする決意をして、5000万円の借入をする事になりました。そこで先輩はAさんに「名前だけで良いから貸して欲しい」と言われ、信頼をしていた先輩の事なので大丈夫と思い連帯保証人としてのサインに応じました。
先輩の事業は順調にすすんでしたので、特にAさんに請求が来ることはありませんでした。
その後Aさんは昔から患っていた心臓病が原因で他界、Aさんの相続人は奥様のみです。Aさんの奥様は銀行の保証については聞かされていませんでした。
相続の一連の処理が終わり、普通の日常を送ることが出来て2年経ったある日、Aさんの先輩が不慮の事故で亡くなりました。Aさんの奥様宛に一通の郵便が届きました。そこには先輩の奥様の字でAさんが銀行の保証人になっている事実が書いてありました。
銀行の借入金はまだ3000万円ほど残っていて、Aさんの奥様は全財産をかき集めても支払いが出来そうにありません。
そこでやむなくAさんの奥さんは相続放棄を決断しました。
Aさんが亡くなって2年経った突然の出来事に奥様はただただ動揺するばかりでした。
連帯保証債務も相続対象です!
連帯保証債務というのは、保証人が主債務者と連帯して、債務を弁済する義務があり、借りた人と同等の責任が生じます。
そしてこの連帯保証債務は相続の対象となります。
しかし、連帯保証債務は主債務者がちゃんと支払いをしている限り連帯保証人には請求が来ません。今回のケースの様にいつどういった事態になるかは誰も予想が出来ません。
そして、自己に相続があったことを知った日から3カ月を経過すると、相続放棄をする事ができなくなります。
もしあなたに連帯保証債務があるのなら、大切な家族のために、その存在を知らせておく方が良いでしょう。
口頭で伝えてもちゃんと伝わるか心配なら「エンディングノート」に記載をしておく事も検討してみてはどうでしょうか?
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