ドル・コスト平均法

ドル・コスト平均法とは

マネー運用の話の中で、よく「ドル・コスト平均法」という言葉が登場します。ドル?コスト?なんだか難しそうな言葉に思えるのですが、実は、値動きのある金融商品を同じ金額ずつ買い付けていく(積み立てて行く)といった単純な運用方法のことです。

同じ金額ずつ買い付けるので、価格の高いときは少ししか買わず、価格が低い時にはたくさん買えることになります。

この方法で投資信託とか、株式とか、金(ゴールド)など値動きのある金融商品を「等間隔、等金額」投資(積み立て)すると、同じ口数(等量)ずつ買付けていくよりも、より多くの口数が買えることになり、結果として投資効率がよいといわれています。

投資効率は??

では、ほんとうに「等間隔、等金額」で投資をすると効率がよいのか見てみましょう。

 

ある株式を5回に分けて、毎月100株ずつ買い付けた場合(等株買付)と、毎月10万円ずつ買い付けた場合(等金額買付)で比較してみます。

株価は700円、1100円、900円、1300円、1000円という動きと仮定します。

 

○価格が変動しながら右肩上がりになる場合<A表>

図A
買付
単価
1回目2回目3回目4回目5回目合計平均
購入単価
 700円1100円900円1300円1000円株数
毎月
100株
 100株100株100株100株100株500株1000円
 7万円11万円9万円13万円10万円50万円
毎月
10万円
 142.9株90.9株111.1株76.9株100株521.8株958.2円
 10万円10万円10万円10万円10万円50万円

毎月100株ずつ買い付けていくと、合計で500株になり、合計投資金額は50万円となるため、1株あたりの平均購入価格は1000円(50万÷500株)になります。

一方、毎月10万円ずつ買い付けていくと、合計投資金額は同じく50万円ですが、合計株数は521.8株となり(1株あたりの平均購入価格は958.2円(50万÷521.8株))、等金額投資の方が等株数投資よりもより多い株数が買えています。

株価1000円で売却したとすると
<等株数投資> 1000円×500(株)=50万円

<等金額投資> 1000円×521.8(株)=52万1800円

となり、等金額投資の方が、利益が多いということになります。

 

○価格が変動しながら右肩下がりになる場合<B表>

買付
単価
1回目2回目3回目4回目5回目合計平均
購入単価
1000円1300円900円1100円700円株数
毎月
100株
 100株100株100株100株100株500株1000円
 10万円13万円9万円11万円7万円50万円
毎月
10万円
 100株76.9株111.1株90.9株142.9株521.8株958.2円
 10万円10万円10万円10万円10万円50万円

株価700円で売却したとすると
<等株数投資>700円×500(株)=35万円(損失 15万円)

<等金額投資>700円×521.8(株)=36万5260円(損失 134,740円)

投資金額50万円に対する損失は、等金額投資の方が少なくなります。

右肩上がりでも右肩下がりでも、等金額投資の方が等株数投資よりも投資効率がよいことがわかります。

等金額投資と等株数投資の投資金額が同じ場合でみてみましたが、次の場合はどうでしょうか?

 

○右肩上がり・等株数投資の方が投資金額より多くなる場合<C表>

 

買付
単価
1回目2回目3回目合計平均
購入単価
900円1100円1300円株数
毎月
100株
 100株100株100株300株1100円
 9万円11万円13万円33万円
毎月
10万円
 111.1株90.9株76.9株279株1076円
 10万円10万円10万円30万円

株価1500円で売却したとすると

<等株数投資>1500円×300(株)=45万円(利益12万円)

<等金額投資>1500円×279(株)=41.85万円(利益11.85万円)

値上がりしているわけですから、投資金額の多い、等株数投資の方が利益の金額は多いのですが、投資金額に対する利益率は、等株数投資の36.4%に対して等金額投資は39.5%となっており、等金額投資の方が有利です。

 

(等株数投資の合計投資金額 33万円)利益12万円     +36.4%

(等金額投資の合計投資金額 30万円)利益11.85万円  +39.5%

※ 利益率 = 利益 ÷ 投資金額 × 100 (%)


○右肩下がり・等株数投資の方が投資金額が少なくなる場合<D表>

 

買付
単価
1回目2回目3回目合計平均
購入単価
1100円900円700円株数
毎月
100株
 100株100株100株300株900円
 11万円9万円7万円33万円
毎月
10万円
 90.9株111.1株142.9株345株869.6円
 10万円10万円10万円30万円

株価500円で売却したとすると

<等株数投資>500円×300(株)=15万円(損失12万円)

<等金額投資>500円×345(株)=17.25万円(損失12.75万円)

 

値下がりしているわけですから、投資金額の少ない等株数投資の方が損失額は少なくなるのですが、投資金額に対する損失の割合は、等株数投資がマイナス44.4%に対して、等金額投資はマイナス42.5%と、等金額投資の方が損失割合は少なく、有利ということになります。

 

(等株数投資の合計投資金額 27万円)損失12万円    -44.4%

(等金額投資の合計投資金額 30万円)損失12.75円  -42.5%

※ 損失の割合 = 損失 ÷ 投資金額 × 100 (%)

 

平均取得価格が、等株数投資に比べて等金額投資の方が低くなるわけですから、当然の結果ですね。

 

ドル・コスト平均法は万能の投資方法?

ここまで見てくると「ドル・コスト平均法ってすごい!」って思えます。

でも、このドル・コスト平均法って、いつでも絶対に有利なのでしょうか?

右肩上がりのグラフを例にとると、株価が700円の時に50万円投資しておくと、714株もの株式を買うことができ、1300円で売却すると92.82万円になり、42.82万円も売却益が得られることになります。

逆に、株価が右肩下がりであれば、買わないでおく方がいいに決まっていますよね。

一直線に株が値上がりしていくような場合には、最初にまとめて株を買っておいた方が有利に決まっており、一直線に値下がりするような場合にはずっと買わないでおく方が有利なのは当たり前の話です。

つまり、このドル・コスト平均法は必ずしも常に万能なツールではないのです。

では、どうして、こんなに「ドル・コスト平均法」が普及しているのでしょうか?

人は心理どおりに投資行動すると、「利益は少額、損失は多額」になるような、行動をしがちになります。

「欲と恐れ」に振り回され、非合理な投資行動しかできないのであれば、価格変動商品などに投資しなくてもよさそうなものですが、現在の日本の状況を考えると、「円預金」でいくら資産を保有していても、「円」の価値の目減りにより、資産が相対的に減少する可能性があり、その“保険”として、株式や外貨建て金融商品などの「価格変動商品」を一定割合保有しておく必要が出てきています。

 

ドル・コスト平均法が必要ツールになるワケ

「欲と恐れ」に振り回されずに投資することのできるツール、それがこの「ドル・コスト平均法」による積立です。

しかし、上記でも述べたとおり価格変動商品に投資して利益を多く得るには、当然低い価格の時に買っておくのがよいに決まっているわけで、定期的に(価格の高低を気にせず)買うよりも、価格が低い時に買った方が利益が出やすいことは誰がみても明らかです。

しかし、実際には低い価格でうまく買い続けるといる人を見たことがありません。「あの時に売っておけば・・・」「あの時に我慢していれば・・・」など“後悔のオンパレード”となりがちです。
「後悔」をしない方法、つまり、高値づかみが避けられ、少なくとも「気休め」になる、ドル・コスト平均法は(むしろ気休めになるからこそ)、「欲と恐れ」が邪魔をする、価格変動商品への投資の場合には、やはり、頼りになるツールとなるのはないでしょうか。

タイミングを計って低い価格で買い付けようとしても、なかなかうまくいくものではありません。
当然、株式などを買った後値下がりが続けば、その評価額も減り続けることになります。

しかし、「ドル・コスト平均法」による積立では、購入平均価格も下がり続けるため「損失の痛みが和らぎ」精神的には楽に投資を続けることができます。

また「円の価値の目減りリスク」を軽減するために外貨を「保険」として資産に組入れようと思っても、価格が激しく上下すると「欲と恐れ」の心理が働きタイミングを計ろうとするため、思うように外貨の買付けが進みません。
買いタイミングに合わせ、その度に「手続きを取って買付ける」ことは面倒なため、結局、「外貨を買う」という行動を起こさないままでいることも多いのではないでしょうか。

そして、結局、「あの時買っておけばよかった~」などと後悔することになるのです。お金を貯める上で最も大切なものは「時間」です。時間が経過した後、後悔するような行動が最も非効率なこととなります。

お金を貯める上だけではなく、仕事でもなんでも、人生を送る上で「時間」はたいへん価値の高いものではないでしょうか。
お金は取り戻すことができますが、時間は誰も取り戻すことなどできません。あなたの時間は刻々と減っていきます。

そのため、時間が経過した後、後悔する様な選択をすることが人生においてもたいへん非効率なことになります。
「将来」、時間が経過しても後悔しない選択を「今」することがとても大切です。

とはいえ、その選択をすることはとても難しいことなのですが実は、金融商品を選択すること(運用)はこの訓練にとても向いています。金融商品の特徴は「購入する時にはそれがいいものかどうかは誰にも分からない」ということです。
「将来」どうなるか分からないものを「今」選択するには、将来どうなるか分からないという不確実性(リスク)をあらゆる方向から考え、決断する能力が必要になります

金融商品の運用を納得し行うことができるようになると(考え方が身につくと)、あなたの人生の岐路での選択もとても楽なものとなります。

 

ドル・コスト平均法の上手な活用

結局、金融機関などで取り扱われている「ドル・コスト平均法」による自動積立は、自分にとって保有する「必要のある投資対象」を、「必要な金額分」まで組み入れるという目的のためには、精神的にも実務的にもたいへん有効な手段となります。

もちろん投資対象がどんどん値下がりを続ければ損失額は拡大します。まして、投資対象の会社が倒産でもしてしまえば積立資産は紙くず同然になることもあります。つまり、投資対象や投資金額には十分注意をしておく必要があります。

むしろ、タイミングを計り低い価格で買付けようとする努力よりも、「投資対象」や「投資金額の保有資産に対する割合」を決めるために努力(勉強)することの方が、資産形成においてはより重要になります。

ドル・コスト平均法はメリットが大きいように思えますが、当然デメリットあります。
両方をきちんと踏まえた上で、貴重な時間をムダにしないためのツールとして、あなたの大切な資産の為に有効に活用してください。

ツールに振り回されるのではなく、うまく戦略的に使っていきましょう!

 

 
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